映画に酔いしれた!?三連休

先週は寒かった!金曜日はまたまた雪が降り、最高気温は4度止まり。震えながらレッスンに行った。そして三連休の週末。やっと寒さも峠を越え、昨日今日と青い空が眩しいほどで、優しい日差しにほっと心も緩んだ。
朝からどこか行きたいモードの夫。「映画でも見に行く?」とふったら即答で「いいね!」で、映画を決める(私が!)。アドベンチャーもの大好きな夫。好きではない私。両者納得する映画はめったにない。で、選んだのが「ライフ オブ パイ 虎と漂流した227日」久しぶりのアンリー監督作品。

アンリー監督、1954年台湾生まれ、ニューヨーク大、イリノイ大で映画製作を学ぶ。「ウエディングバケット(1993年)」「恋人たちの食卓(1994年)」「いつか晴れた日に(1995年)」ずっと見続けて来た。最近では最後に観たのは「ブロークバック・マウンテン(2005年)」同性愛を描いた作品だった。あれからもう10年近くたっていることに驚きながら。どの作品も家族や友人や恋人たちとの間での軋轢、愛や憎しみや悲しみを丁寧に描いた人間ドラマであり、そんな心の深い部分に向かい合い、掘り下げながら、いつもその悲しみにひっそりと寄り添っていく、優しい視線を感じる映像が胸を打つ作品を生み出している。そんな監督が手がけた作品、単なるアドベンチャー物語で終わるわけがない!久しぶりのアンリーの世界に胸躍りつつ映画館の椅子に座る。入口で渡されたメガネをかけて。「アバター」以来の3D。

泳ぎが得意な父親の親友が大好きなプール、フランス語でPiscine ピッシン(インドの言葉では小便)という名前をつけられた少年。名前のせいでいじめられるのをなんとかしようと自己紹介の度に得意な円周率の暗記を披露して、自分で作ったあだ名「パイ」をみんなに周知させ切り抜けていく。神さまにとても興味があって、ヒンズー教からキリスト教イスラム教と熱心に信仰する。そんな始まりの頃のエピソードが信じられない漂流の後奇跡の生還を果たした少年の布石となっていく。
これから見る人のために、詳しいストーリーは伏せておくことにして、とにかくぐんぐんと惹きこまれていく。3Dの立体感が見事に生かされていて、まるで自分自身もこの海原に少年と一緒に漂っているような錯覚に襲われる。映像が素晴らしい。

特にこのシーン。まるで宇宙を無限なる宇宙を星々に見守られながら静寂の海を漂っているかのような錯覚を覚えた。冒頭にあったインドでのシーン。ヒンズーのお祭りの夜。ガンガ(ガンジス川)に花々で飾られた神への捧げものが流されるシーン。おびただし数のろうそくの光、色鮮やかな花々、響いてくるマントラ。忘れられないシーンがいっぱいある。宝石箱のような作品。
アンリー監督は「海を砂漠として(聖書にも出てくる)、そして、海を感情としてとらえることもできます。」と語っている。海は、人の感情を反映している・・・泣いたり、怒ったり、恐れたり、笑ったり・・・・荒れ狂う海に、稲妻にパイは神に向かって叫び続ける。「あなたはどこにいますか?なぜ私を助けてくれないのです?」その感情の海に漂い、けっして諦めない強い心を育てながら試練を乗り越えていく。

一緒に漂流を続けたベンガル虎「リチャードパーカー」CGの技術がこの映像を可能にしたといえる。実際に4頭の虎を連れてきて、筋肉や目の動き、尻尾の動きなどを研究したという。凄い!

意外な最後が用意されている。そのラストをどう受け止めるか。この映画が問いかけてくる哲学的な意味合いを少しずつ整理していこう。今はそう思っている。
パイを演じたのは演劇経験全くなしのスラージ・シャルマ。眼で演技が出来ると抜擢されたという。確かに眼力がある!成人になったパイを演じたのは、「スラムドッグ$ミリオネア」のイルファン・カーン。彼の演技も素晴らしかった。パイのお母さん役には「その名にちなんで」のジータ・パテル。美しさが光る。チョイ役ながら船のコック役にジェラール・ドパルデューが出演。ご存知でしょうが、フランスの名優。なぜ彼が??これも意外なラストへの布石か?
映画って素晴らしいなぁ!久しぶりに叫びたいほどそう思った作品だった。

映画を観て語り合いたいなぁ。学生時代、映画研究部の合評会で映画鑑賞後、深夜まで議論しあった頃が懐かしい。映画オタク歴はそれ以来、もう40年以上になる。(歳バレバレ!)
さて、三連休も終わった。明日は午後スポーツクラブで代行レッスン。夜は公民館レッスン。いきなりのツーレッスン!頑張らなくちゃ!