晩秋の休日

昨日、夜のレッスンだけで昼間がぽっかりと空いた日。ずっと前から行きたいと思っていた「ベルリン国立美術館展」に、少し重いお尻を持ち上げつつお出かけする。会場である大宰府にある九州国立博物館へは車で30分ちょっとの所ながら、絵画鑑賞後の余韻を楽しみたくて、敢えてバスと電車に乗りついで、倍近い時間をかけてプティボヤージュ(小旅行)気分でのんびりゆったり向かう。

太宰府駅まで我が家から約1時間近くかかって太宰府駅に到着。天満宮へと向かう沿道の賑わいはぼちぼちながら、少し戻って来たのか中国語や韓国語が聞こえることに少し安堵しつつ、こんなお店あったっけ?と、かなり珍し気分できょろきょろと眺めつつ、「わー!梅枝餅、並んでるわ!」一人感嘆の声上げつつ・・・お昼12時、少しお腹空いたけれどまずは鑑賞が先!と、取りあえず急ぎ九博入口へと足早に歩く。
エスカレーターを歩き登り、動く歩道もかなり急ぎ足で歩く。せっかちな私。あれはいつだったのかな?母と姉と三人で九博に来たことがあった。母の手を取って動く歩道に乗り移るのにかなり手間取った。長い通路を歩かせるのは大変だと思って何とか歩道に乗せようとするも、タイミングが合わずに、何度も掛け声をかけて乗り移ったっけ。動く歩道を怖がった母。そんな日を思い出した。その他諸々の思いを抱えつつ一人歩く。

思ったほど人は多くはなくてすんなりと会場に入る。音声ガイドを借りて、耳に流しながら絵に向かう。絵の横にある解説文?を読むことに終始して肝心の絵に向かえないことが多いから、耳で解説を聴きながら(聴きたくないときは素通りさせながらでOKだから)最近の私、音声ガイドは必需品?!かな。今から500年以上前の世界に描かれた絵画たち。そのどれもが色あせることなく、時空を超えて観るものに語りかけてくる。すごいなぁ!と改めて思う。どれだけ描かれる世界を、描く者の思いを伝えることが出来るか?懸命に向かい合い模索し続けて来た画家たちの思いが、胸の奥にずんと響いてくる。このひと筆を描くのにどれほどの試行錯誤を繰り返してきたことか・・・すっぽりと全身が戸惑いながらも満たされていく。本当のものに出会うと心の奥の花が開く。

約2時間、自分のペースですべての作品を堪能した。ティルマン・リーメンシュナイダーの「龍を退治する馬上の聖ゲオルギウス」、ルーカス・クラーナハの「ルクレテイア」、ヨハネフェルメールの「真珠の首飾りの少女」、レンブラント派による「黄金の兜の男」、ヨハン・ゲオルク・ディルの「戴冠の聖母」などなど、特に作家たちの素描はとても興味深かった。一つの作品を作り上げるのにどれほどの時間をどれほどの労力を費やして来たか。名作は突然には生まれない!地道な仕事、真摯に向かい合う姿勢・・・すべてに通じるなぁと再び教えられる。作品を通して自分に向かい合い問いかけ続けた時間だった。

ついでながら天満宮にも足を運ぶ。紅葉の時期であった。木々の紅葉が天満宮の向こうに広がっていた。お賽銭を投げ、祈る。私がいつも冷静な判断を持って行動できますように!私の愛する人たちが、心穏やかな日々を過ごせますように!おみくじを前に大騒ぎな若者たちがいて、七五三の可愛い着物姿の子どもたちがいて、旅の途中の人がいて・・・・真っ青な秋空の下、そんな今をしみじみと見つめる私がいた。

その夜のレッスンはそんな昼間の私の思いを伝えることに終始した。果たしてそんな私の思い通じたかな?

今週末も仕事ながら、日曜日の夜から来週木曜日まで母の所へ帰る。お正月を迎える前の掃除や準備やら、身を粉にして??目いっぱい働いて来よう!!また違うスイッチに切り替わるかな?!?相変わらず忙しい。でもこころはいつも穏やかに、一歩一歩!相変わらず歩き続けて行こう・・・